つきあい始めたころ、彼のテンポにとまどったことを、ふと思い出した。
「これ、似合うかな」
「…」
「…」
「…」
この間に耐えきれず、ひとりでしゃべりまくるということをしていたな(笑)。
私の話をいい加減に聞いていたわけでもなく、無視していたわけでもなく、口をつぐんでいたわけでもなく。
今ならわかるけど、彼の脳内では、口にする言葉に対して
「課長決済」
「部長決済」
「役員決済」
が、きっと行われていた…、と思えるんだよね。
かれは一人っ子で、しかも鍵っ子。
親元を離れてからも1人暮らしで、友人との関係も、聞き役。
つまり。
話すってことの訓練が、育まれていなかった、って思える。
一方私は、「機関銃のようにしゃべる」と揶揄されたこともあるオトメ。
こんな2人のテンポがあうわけないっ!(笑)
会話のテンポいいキャッチボールって、きっと訓練しないと、できない人もいる…かも。
そんな彼が、長年の夫婦生活の中で編み出した対処方法「顔芸」。
。
驚いた顔、フン!とした顔、ニッコリ顔…。
私の投げた会話ボールを、とりあえず顔芸で打ち返し、コトバの脳内決済時間を稼ぐ、というワザ。
フウフって、不思議だね。
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